ダイアナ・ストヤノフスキ博士
メルボルン大学 ・ Bio21研究所 生化学・薬理学科

SLC25A13の生合成に関与する分子機構

シトリン欠損症は、ミトコンドリア輸送体タンパク質SLC25A13の変異によって引き起こされる。SLC25A13は他のミトコンドリア輸送体と共通の特徴を持つ一方、大きなカルシウム結合ドメインをミトコンドリア膜間隙に露出する。SLC25A13の生合成、すなわちタンパク質の輸送とミトコンドリア内膜への統合のメカニズムについてはほとんど分かっていない。また、SLC25A13の変異がタンパク質の生合成経路に与える影響も不明である 

この研究では、野生型および変異型のSLC25A13が、細胞質での合成からミトコンドリア外膜を通過し、ミトコンドリア内膜に挿入されるまでの生合成を司る機構を明らかにする。我々は、TIM22複合体や一般的なミトコンドリア輸入機構に関する専門知識を有しており、シトリン欠損症の治療法の発見に直接関連するこれらの機構を解明する上でこの経験と知識が有益であると考える。尚当該研究の一環としてシトリン欠損症に対するmRNAを用いた治療法も検討する予定である 

この研究は、(1)SLC25A13とシトリン欠損症の生物学における知識の拡大、(2)シトリン欠損症の病態メカニズムを明らかにするための疾患細胞モデルの作成、(3)当研究室がシトリン財団のミッションに貢献することによる同財団の研究活動の拡大等、幅広い影響を与えるものである。 

(2022年7月 更新)