ジェラルド・シュワンク教授 ヨハネス・ヘーベレ教授
チューリッヒ大学
シトリン欠損症治療を目的とするSLC25A13遺伝子編集
SLC25A13の変異によるシトリン欠損症は、新生児から小児、成人まで様々な形で発症する単一遺伝型の肝疾患である。この疾患は汎民族性で希少疾患とされるが東アジアに多く分布し、特に日本人における保有率は1:65と高い。この病気には確立された治療法がなく、低炭水化物食、乳糖フリー・MCT補給食を中心に、病型に応じた対処治療が行われている。
本研究は、シトリン欠損症はシトリンタンパクの主な発現部位である肝臓での遺伝子編集により、治癒が可能であるという仮説に基づき、シトリン欠損症の遺伝子修正を目的とする。そこでシトリンの生物学的機能や患者由来の肝細胞様細胞のように表現する能力を持てるよう病原性SLC25A13変異を遺伝的に修正し、後の動物モデルでのin vivo修正の基礎の確立に努める。また、様々な病原性SLC25A13変異を修正するにあたり、塩基編集やプライム編集などの様々なゲノム編集技術の有効性と精度を評価する予定である。このプロジェクトの成果は、シトリン欠損症患者に対する遺伝子編集療法の確立の基礎となるものである。
(2022 年 7 月 更新)