熊本大学でのシトリン欠損症中核的研究拠点(CoE)の設立
私たちは熊本大学にシトリン欠損症中核的研究拠点(CoE)を設立し、シトリン欠損症の診断と病態管理におけるガイドラインの確立、より多くの患者さんへの確定診断、包括的な臨床情報の収集と分析、関連する医学界の協力の促進を図ります。またこの疾患に対する理解を深め、治療法の早期発見に努めます。
CoEでは具体的に以下の取り組みを行います。
1. 現在の新生児マススクリーニング(NBS)システムを拡大し、診断力の向上を図る。本邦における現行のNBSではNICCD発症のCD患者全体の10%未満の検出にとどまる。このため現在のNBSの評価システムを見直し・改善し、より多くの患者を検出できるようにすることを目指す。
2. 次世代シークエンス(NGS)を確立し、PCRで検出が不可であったケースを確実に診断し、日本におけるシトリン欠損症の診断精度を向上させる。
3. 前回の調査研究の成功を受け次回は全国調査において肝臓内科、神経内科、精神科など他科にも対象を広げ、特に食癖、アルコール嫌忌、低BMI、脂肪肝などの臨床症状を持つ患者をターゲットとし、より多くの患者、特に成人患者の検出に取り組む。
4. CDの治療と研究に携わる臨床医と科学者のコンソーシアム対象のカンファレンスを毎年熊本大学で開催する。臨床情報と成果を議論・共有し、この疾患への理解を深め、治療と管理ガイドラインの改善につなげる。
5. 2019年に作成した現行のガイドラインをベースに、最新の全国調査での知見やCoEで収集する新たな情報を取り入れ、世界的に適用可能なCDの診断・管理に関するガイドライン案を作成する。また、このガイドラインはJohannes Häberle教授と協力し合い、世界中の関連臨床医が利用できるようにすることを目指す。
6. Johannes Häberle教授と共同で臨床研究および科学研究基準を確立し、CDに関する臨床研究のスタンダードを設定する。
(2022年8月 更新)