患者さんやご家族からいただくご質問にお答えするため、下記の「よくある質問」は随時更新されます。以下に掲載のないご質問等がございましたらお寄せください。専門家を通してできる限りお答えします。回答は、参考になるものであればここに掲載させていただきます。
ご質問はこちらから、またはinfo@citrinfoundation.orgまでご連絡ください。
シトリン欠損症患者の多くは、炭水化物を多く含む食品を嫌う・避ける傾向があります。当財団に寄せられるコメントからも炭水化物の過剰摂取は不快感を与える傾向があることが分かっています。研究では患者に見られる強い食物嗜好は、患者自身が体質管理と健康維持のための自然な自己防衛機能であると示唆されています[Okamoto et al. 2021]。
少量ずつでもよいので食事の回数を増やしエネルギー不足にならないように気を付けることが大切です。また低血糖を起こさないように十分ご配慮ください。
多くの NICCD 患者は肝機能が正常化した後、乳糖摂取を再開しています。乳糖の再開で肝機能やアミノ酸分析を悪化することはなく、この機序はまだ解明されていません。当財団でも解明に力を注いでいます。乳糖の再開、またそのタイミングにつきましては主治医の相談の上指示に従ってください。NICCD後ガラクトース血症を発症した場合は乳糖除去が必要です。
シトリン欠損症患者の多くは、炭水化物や甘いものを嫌い、タンパク質や脂質の多い食品を強く好みます。また、牛乳を好むことも報告されています。この食事の好みはシトリン欠損症では全く正常なことあり、健康を維持するために必要な適応です。一般的には、好きなものを好きな量だけ食べることが望ましいとされます。
この期間に起こる生化学的変化とその生理的な影響については、まだ確立中です。中には健康にみえる患者もいる中、低血糖、疲労、腹痛、成長障害をかかえる患者もいます。当財団では、この期間に体内で何が起こっているのか、この期間に機能する代償経路や遺伝的要因があるのか、またCTLN2の引き金となりうるものは何か、また予防の方法等の解明に力を入れていきます。
どのような検査が適しているかは、最終的には本人または主治医が決定します。一般的には、肝機能検査、γGTP検査、血中アンモニア濃度、アミノ酸分析を含む血液検査を行います。新生児はNICCD期を過ぎるまではAFPを追加されることが多くあり、また主治医により胆汁酸、血清脂質、血糖値を検査項目に含むこともあります。
血液検査と健康診断はNICCD期間中は毎月、NICCD 以降又は1歳以上の患者は、4~6 ヶ月に一度の検診をお勧めしますが、主治医の指示に従ってください。
シトリン欠損症は、主に肝臓とその関連代謝経路に影響を及ぼす先天性代謝異常症です。高アンモニア血症の再発がない限り、(シトリン欠損症が直接関与する)神経症状や精神症状、認知機能異常は起こらないと考えられます。したがって、これまで小児で観察されていないCTLN2を発症しなければ、患者の認知発達や能力に影響を与えることはないと考えられます。
文献や個人的なコミュニケーションにもあるように、シトリン欠損症の患者全員がCTLN2を発症するわけではありません。CTLN2の症例が多い日本では、人口比で10万分の1から20万分の1であるのに対し、NICCDの頻度は約1万7千分の1です。CTLN2の主症状である高アンモニア血症は、多くの場合バランスの悪い食事や上記2で詳述した因子が引き金になります。
CTLN2の発症には、いくつかの誘因(飲酒、炭水化物や糖質の過剰摂取、重篤な感染症、特定の薬剤など)があると考えられていますが、まだ完全には解明されていません[Okano et al. 2019]。このため当財団はCTLN2の発症につながる因子を解明するための研究への助成を積極的に行っています。飲酒は高アンモニア血症を引き起こすとの報告があり、禁酒を徹底することは非常に重要です。グリセロールや高濃度果糖の輸液も急速な悪化をもたらした症例があり、避けるべきです [Takahashi et al. 2006, Saheki & Song 2005; last updated 2017]また、アセトアミノフェンやラベプラゾールはCTLN2を誘発する可能性があるため、避けた方がよいという報告もあります [Okano et al. 2019]。これまでの知見では、CTLN2の発症を防ぐには、適切な食事管理(高タンパク質・高脂質・低炭水化物食)とMCTの補給が有効であると考えられます。MCTはCTLN2に対して効果的であると報告されており、患者の食事に取り入れることが推奨されます [Hayasaka et al. 2014; Hayasaka 2018]。
現状では食事管理です。NICCD患者には、MCTを添加したラクトースフリーミルクが推奨されています[Tazawa et al. 2004; Ohura et al. 2007; Hayasaka et al. 2011]。 NICCD後は低炭水化物、高タンパク、高脂肪の食事バランスが重要です。MCT も有用であると報告されており、適応・代償期の患者でも取り入れることが推奨されています[Hayasaka 2021; Kido et al. 2022]。CTLN2患者についてもピルビン酸ナトリウムやアルギニンなどの処方やMCTに加え、低炭水化物・高タンパク・高脂肪の食事を摂ることが大切です。
引用文献はこちらよりご覧ください。