以下はお寄せいただいた個人の体験談です。必ず主治医と相談し適切な判断を仰いでください。

私の子どもの姉弟が二人ともシトリン欠損症です。

私の体験を読んでいただくことによって、少しでも参考や励ましに繋がっていってもらえたらと思います。

母親の私自身は今まで病気らしい病気とは無縁で、歩荷(ぼっか)という山小屋の荷物を担ぐアルバイトもしていたこともあって出産は「どうにかなる」と安易に考えていました。

しかし破水してから1週間産まれず、心拍が微弱になったため緊急帝王切開で娘は産まれました。

生後よく吐くため、1ヶ月検診のときと、治験に参加していたので生後2ヶ月の問診のときに医師に伝えましたが、特に何も言われずに過ぎていきました。私の母はちょっとお腹の見た目がおかしい、ぶよぶよしている、こういう子は見たことないと言っていました。

生後4ヶ月のころ、その頃はよく耳の後ろを掻いていました。足の付け根あたりのそけい部が盛り上がっていて、ヘルニアのようだったので近くのクリニックで診察してもらうと「ヘルニアはオペでうまくやってくれるけど、このお腹のかんじはおかしい」と母と同じ事を言って、近くの大学病院への紹介状を書いてくれました。その頃はおそらく腹水で押されてヘルニアになっていたのでしょう。次の日に大学病院で採血してもらい、肝機能やアンモニア値が高く、即日入院になりました。

原因は「乳び腹水」と言われたり、サイトメガロウイルスに感染していたりしたので「サイトメガロ肝炎」かもと言われました。しかし原因は突き止められずに何ヵ月も肝機能障害が改善せず、移植をしたほうがよいのではないかと主治医からお話がありました。生後7ヶ月で移植のための病院へと転院、移植オペの前日にシトリン欠損症と判明しました。転院先の病院からの追加検査の中にシトリン欠損症の遺伝子検査が含まれていて、やっと病名が判明しました。

原因不明での移植と言われておりましたが原因もわかり、シトリン欠損症は移植することによって完治と聞き、少しホッとしました。生後8ヶ月で肝臓移植となりました。

移植後は順調に回復し1ヶ月で退院。

1年ほど経つと次の子はどうしようかと考えるようになりました。

病院を介して知り合った臨床心理士さんに相談して自分の気持ちに気付き、妊娠を目指そうと前向きに考えられるようになりました。私自身の病気で手術もしましたが、その後に妊娠。

出産は娘の移植をした国立病院に決めました。出産前に遺伝子科を受診し、出産してすぐに遺伝子検査をすることをお願いしました。

産まれてすぐの肝機能は正常値。マススクリーニングもすべて陰性だったため、新生児科の先生からシトリン欠損症の可能性がないので、遺伝子検査をしなくても良いのではないかと提案がありました。私はマススクリーニングが陰性であってもシトリン欠損の場合があるので遺伝子検査を希望しましたが「娘さんが産まれた5年前のマススクリーニングより性能が上がっている」との説明を受け、遺伝子検査を受けないことを了承しました。しかし、納得がいかなく不安だったので夫と相談して、受けないことを了承したその日に再度遺伝子検査をお願いしました。しかし、検査のための採血はすぐに出来なく、かなり遅れることになってしまいました。

生後1ヶ月検診では肝機能は上昇していました。顔の黄疸が出ていること、便が生後3週間後から白くなってきていることを伝えましたが、様子見でとのことでした。次回の採血は1ヶ月後で大丈夫と言われましたが、移植外科の先生にも相談させていただいて10日後にしてもらいました。それまでの間は、娘の幼稚園の運動会にも参加せずに、私は運命の日を待つかのような気持ちで過ごしていました。

10日後の採血では、悪い予感は当たってしまい、肝機能がさらに上昇していました。また、血液が固まる速度が遅いため脳出血の可能性もあるとのことでそのまま入院となりました。と、同時にシトリン欠損症の遺伝子検査の結果も出ていまして、先生の予想とは違い陽性の結果でした。

シトリン欠損症の知識がありながらも一度は遺伝子検査をしないということを了承してしまったことは、みすみす息子を危険に晒してしまったことだと今でも申し訳なく思っています。

幸いなことに緊急入院から1週間ほどで肝機能も回復していき、2週間で退院することができました。

退院後は必須アミノ酸強化MCTミルクと母乳を両方飲んで、体重増加も順調。

2歳半から保育園に通うようになると、風邪を貰うようになり、1年に2回ほど低血糖と脱水、アシドーシスの状態で入院になりました。点滴をすれば回復することが多く、ほとんどは2~3泊の入院で済んでいました。簡易血糖計測の器械を購入しようかとも考えましたが、入院できる総合病院が自宅から徒歩15分と近いところにあったので未だに買っていません。

3歳頃には「入院したい」と自分の体調が言えるようになってきました。

6歳の現在は入院することも少なくなり、体力もついて空手とサッカーを習っています。習い事の前にはチーズや唐揚げを食べて元気いっぱいに活動しています。お刺身とマクドナルドが大好きな小学生です。

また、SNSを通して知り合ったお友達からMCTパウダーやオイルが良いよと聞いて、使うようになってから疲れやすさが改善している感じもします。

ただ野菜をほとんど食べないからなのか、たびたび口内炎に悩まされています。炭水化物は食べなくて良いのに、野菜は食べなきゃいけないと理解させるのが難しいです。

肝移植を受けた現在11歳の姉のほうも現在元気に制限のない生活をしています。免疫抑制剤3種類を含め6種類の薬を服用し、1年に1回の全身麻酔での検査入院はありますが、週3回は新体操の競技クラスで練習、週末は百人一首の会でかるたの練習をしております。

私の拙いこの文章を読んでいただいている方の中で、自分のお子さんがシトリン欠損症と診断をうけてこのページにたどり着いた方もいらっしゃると思います。

産まれたばかりの子が遺伝子の病気と言われて不安しかない方もいらっしゃると思います。

不安なのはこの病気はいったい今度どうなるか未知であるがゆえだと思います。

遺伝子欠損は誰もがあるものと現在の医学でわかってきていますので、お母さん方はどうか悲観的にならず、食事のことなどシトリン仲間と共有して、前向きに子育てを一緒にしていきましょう!