アーセリ・デル・アルコ博士 &  ローラ・コントレアス博士
スペイン マドリード自治大学セベロ・オチョア分子生物学センター

シトリン欠損症研究用ヒト型疾患モデルマウスの作成

研究概要 

シトリン欠損症(CD)は、ミトコンドリアのアスパラギン酸/グルタミン輸送体(AGC)であるシトリンの肝アイソフォームをコードする遺伝子の変異によって起こる汎民族性疾患で、その表現型は複雑である。重篤な症状は、高アンモニア血症とシトルリン血症につながる尿素サイクル活性の低下により引き起こされる。その他の病態としては、減少した基質による糖新生障害が考えられる。しかし、マウスの肝臓はヒトの肝臓に比べて神経細胞アイソフォームであるAralarが高発現しているため、現在のマウスモデルはこの疾患を再現しきれないことが分かっている。

我々は肝臓に特異的に存在するAralarをノックアウトすることで、よりシトリン患者の状況に近いマウスの作成が可能になり、改良型CDモデルを提供できると考え、これを研究テーマとした。これにより脂質カプセルmRNAによる遺伝子治療やその他の遺伝子治療法の検証、Ca2+動的ホルモンによる肝代謝調節へのシトリンの関与の研究が可能になると期待される。 

(2022年6月 更新)